犬は桃を食べてもいい?適量や与え方の注意点を解説
桃は基本的には犬に与えても大丈夫な果物です。熟した桃の果肉には犬が中毒を起こすような成分が含まれていないため、犬が食べても問題ありません。
犬の健康を考えるうえでメリットの多い桃ですが、桃を与えるにはいくつか注意しなければならないことがあります。この記事では、桃の適切な与え方や、桃を与えるときの注意点について解説しています。
犬は桃を食べてもいい
冒頭でもお伝えしたように、熟した桃の果肉には犬が中毒を起こすような成分が含まれていないため、犬には桃を与えても問題ありません。
桃の約90%は水分ですが、犬の健康維持に役立つ栄養素が含まれています。
桃(白肉種)の栄養価(100gあたり)
エネルギー 38kcal
水分 88.7g
たんぱく質 0.6g
カリウム 180mg
ビタミンC 8mg
食物繊維 1.3g
※参照:文部科学省「日本食品標準成分表2020年度版」
これらの栄養素以外にも、微量ながらビタミンB群や葉酸、マグネシウムや亜鉛といった栄養素が含まれています。桃に含まれる栄養素が犬にどんな効果をもたらしてくれるのか見ていきましょう。
水分 | 桃には100gあたり約90%の水分が含まれています。桃の旬は夏なので、脱水症状が心配な季節の水分補給源として役に立つ果物といえます。ただし、水分が多いとはいえ、危険な脱水症状を起こしている犬に桃を与えても、危険を回避できるような十分な水分を補給することはできません。桃は元気に過ごしているときの水分補給に役立つのだと考えておきましょう。 |
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カリウム | 桃100gあたり、180mgのカリウムが含まれていて、体内に溜まっている塩分(ナトリウム)を体外に排出する働きがあります。また、カリウムは体液のpHバランスを保つほか、神経の伝達、筋肉の収縮などにも深い関わりがあります。 |
ビタミン C | 桃には100gあたり8mgのビタミンC(アスコルビン酸)が含まれています。ビタミンCは水溶性の栄養素で、酸化防止作用や免疫系が適切に働くのを助ける働きがあります。犬は人間とは異なり体内でビタミンCを生成できるため、食物で摂取する必要は厳密にはありません。しかし、強いストレスなどが原因で体内での生成では不足する場合があるため、体外から摂取する必要とする犬もいます。 |
食物繊維 | 桃には100gあたり1.3gの食物繊維が含まれています。食物繊維は大きく分けて不溶性と水溶性があります。りんごやサクランボと同じバラ科植物である桃には、犬でも消化しやすい水溶性のペクチンという食物繊維が含まれており、腸内の環境を整える働きがあります。 |
犬に与える桃の量と与え方
犬に桃を与えるときは、体重に合わせて与えるようにします。桃は主食ではなくあくまでもおやつとして与えるため、犬の1日に必要なカロリーの1割程度に抑えるのが理想です。
桃のカロリーは100gあたり38kcalですので、それを加味して以下の量を目安にあたえるようにしましょう。
小型犬(体重3㎏程度) | 65g |
中型犬(体重10㎏程度) | 165g |
大型犬(体重30㎏程度) | 377g |
上記の量は、去勢・避妊手術をしていない健康で普通の活動量の成犬を対象としています。犬の年齢や運動量、健康状態によっては過剰摂取となる場合がありますので注意しましょう。
また、桃には約90%の水分や食物繊維、果糖が含まれているため、食べ過ぎると下痢をしたり、糖質を摂りすぎたりするリスクがありますので、過剰に与えないようにしましょう。
甘味が好きな犬にとって、桃は美味しいおやつのひとつです。食べ過ぎによる偏食でドッグフードを食べなくなる犬もいますので、欲しがるだけ与えるのではなく、あくまでもおやつとして与えすぎには注意してください。
桃は小さく切って生のまま与える
犬に桃を与えるときは、生のまま与えるようにしましょう。桃は糖分の多い果物ですので、シロップ漬けの桃の缶詰など加工されたものは、さらに摂取する糖分が多くなるため与えないほうがよいでしょう。
また、超小型犬など口の小さな犬や、噛まずに飲み込む恐れのある犬は、大きくカットした桃を喉につまらせることがあります。そのため、桃を与えるときは食べやすいよう小さく切って与えるか、すりつぶして与えるとよいでしょう。
犬に桃を与える際の注意点
愛犬に桃を与えるときの注意点を見ていきましょう。
桃の種や皮は取り除く
桃の種には「アミグダリン」という有毒物質が含まれています。万一飲み込むと中毒を起こす危険性がありますので、桃の種は絶対に犬に与えないようにしてください。また、種を丸呑みして喉や腸につまらせてしまうと、最悪死に至る恐れもあります。調理の際は種を犬の目の届く位置に置かないようにし、種を必ず取り除いてから与えるようにしましょう。
また、未熟な桃の果実にもアミグダリンが含まれています。未熟な桃が販売されていることはまれですが、犬に与える場合はなるべくよく熟した桃を選ぶようにしましょう。
桃の葉っぱや皮は消化しにくいため、皮と葉っぱは取り除いて与えるようにしてください。
桃の加工品は食べさせない
桃には甘味の元となる糖分が含まれていますが、シロップ漬けの桃の缶詰になるとさらに糖分が多くなります。糖分の摂り過ぎを防ぐためにも、犬には与えないようにしましょう。また、桃の缶詰以外にも、桃を砂糖水で煮たコンポートや、桃のジュースも糖分が多いため、与えないようにしてください。
アレルギーを確認する
桃は、犬によってはアレルギー反応を起こす場合があります。アレルギー反応を起こすと、皮膚のかゆみや発疹、下痢や嘔吐といった症状が現れます。
犬のアレルギーにはⅠ型とⅣ型があり、Ⅰ型の場合はアレルゲンが体内に入るとすぐにアレルギー反応が生じます。そのため、即時型過敏症とも呼ばれています。
Ⅳ型の場合は、アレルゲンを摂取してから24時間~48時間後にアレルギー反応が生じるため、遅延型過敏症と呼ばれています。どの型のアレルギーかを調べるには、動物病院での検査が必要です。桃を与えた後に、皮膚のかゆみや発疹、下痢や嘔吐といった症状が出た場合はアレルギー反応の可能性があるため、桃を与えないようにしましょう。
また、桃はりんごやさくらんぼと同じバラ科の植物のため、過去にりんごやさくらんぼを食べてアレルギー反応が合った場合も桃を与えないようにしてください。桃に限らず、犬に初めて与える食べ物は、愛犬に異変がないか様子をよく見ておくようにしましょう。
腎臓が弱っている犬に食べさせない
桃には100gあたり180mgのカリウムが含まれています。カリウムは体内に溜まっている塩分(ナトリウム)を体外に排出する働きがあります。しかし、カリウムを過剰に摂取すると血液中のカリウム濃度が上昇し、高カリウム血症を引き起こす恐れがあるため注意が必要です。
高カリウム血症を起こすと、四肢のしびれや不整脈、頻脈、嘔吐といった症状が現れ、最悪の場合、命を落とすこともあります。
健康な犬は、過剰なカリウムは尿中に排出されますが、腎臓病を患っている犬や高齢で腎機能が弱っている犬は、カリウムの排出がうまくできない場合があります。腎臓病や腎機能が衰えている高齢の犬には桃を与えないようにしてください。
桃には犬に必要な栄養が含まれており、甘くて美味しいおやつとして犬に与えても大丈夫な果物です。摂取量やアレルギーなどに注意しながら与えましょう。