トマトは犬が食べても大丈夫な野菜です。水分が多いため、夏の水分補給や熱中症予防にも効果的ですが、与え方には注意が必要な場合があります。
この記事では、トマトの適切な与え方や量、与えるときの注意点について解説します。
犬はトマトを食べてもいい
冒頭でもお伝えした通り、犬はトマトを食べても大丈夫です。トマトの旬は夏ですが、ハウス栽培されたトマトは年中スーパーマーケットに並び、いつでも犬に与えることができます。
トマトには、ポリフェノールの一種であるリコピンが含まれています。このリコピンは体のなかにある活性酸素を除去する役割があるといわれており、強力な抗酸化作用のほか、血流の改善などの効果があります。
また、トマトには抗酸化作用のあるビタミンCや便通を整える食物繊維なども含まれているため、犬の健康を維持する働きが期待できます。
トマトに含まれる主な栄養素(トマトの可食部100gあたり)
エネルギー | 20kal |
水分 | 94.0g |
タンパク質 | 0.7g |
脂質 | 0.1g |
炭水化物 | 4.7g |
灰分(無機質) | 0.5g |
リコピン | リコピンは赤色の天然色素でカロテノイドの一種です。強力な抗酸化作用があり、トマトといえばリコピンと言われるほどの代表的な栄養素です。私たち人では、悪玉コレステロールの酸化や、血流を良くする効果が期待されており、犬の健康維持にも役立つといわれています。 |
---|---|
ビタミンC | トマトには100gあたり約15㎎のビタミンCが含まれています。ビタミンCはコラーゲンの生成や抗酸化作用などの働きがあり、体の各所でさまざまな役割を果たしています。 犬は体内でビタミンCを生成できるため、食事で与える必要はないといわれています。しかし、犬も長時間のお留守番や加齢など、生活環境や年齢によっては食事による補給が必要です。 |
カリウム | トマトには100gあたり210㎎のカリウムが含まれています。カリウムは体液の浸透圧を調整する働きがあり、尿と一緒に不要な塩分や水分を体外に排出する役割があります。余分な塩分を体外に排出することで、心臓の働きを正常に保ち血圧を下げるため、カリウムも犬にとって欠かせない栄養素といえるでしょう。 |
βカロテン | 体内でビタミンAに変換されるβカロテンは、トマトの代表的な栄養素です。βカロテンはプロビタミンとも呼ばれており、皮膚や粘膜の維持を助けるほか、夜間の視力の維持を保つ働きがあるといわれています。 また、強い抗酸化作用があるため、がんや心臓病の予防などにも効果が期待されています。 |
犬に与えるトマトの量と調理法
犬にトマトを与えるときは、以下の表の摂取量を目安とし、食事ではなくおやつとして与えると良いでしょう。
小型犬(体重1~3㎏程度) | 56g~127g |
中型犬(体重4~10㎏程度) | 158g~314g |
大型犬(体重11~30㎏程度) | 338g~717g |
上記の量は、去勢・避妊手術をしていない健康で普通の活動量の成犬を対象としています。犬の年齢や運動量、健康状態によっては過剰摂取となる場合がありますので注意しましょう。
上記の表は、犬の1日の総摂取カロリーの目安1割として計算しています。1割程度とはいえ、摂取量が多くなると嘔吐や筋力の低下などの症状があらわれる場合があります。腎臓病を患っている犬や、肝機能が衰えていると獣医師から指摘があった場合は、まずは獣医師の指示に従って与えるようにしてください。
トマトは小さく切って生のまま与える
トマトを犬に与えるときは生のまま与えましょう。チワワやトイプードルといった口の小さな小型犬や、噛まずに丸呑みしてしまう恐れのある犬には、小さく切って与えるようにしてください。特にミニトマトは皮が固く、丸呑みしてしまうと喉につかえて窒息する恐れがあります。
犬にトマトを与える際の注意点
トマトのへた・葉・花・茎は取り除く
犬にトマトを与えるときは、ヘタや葉っぱ、花や茎は取り除いてから与えるようにしてください。真っ赤に熟していないトマトには「トマチン」という犬にも有害な物質が含まれています。
万一、犬が未熟なトマトや茎、花などを食べてしまうと赤血球が破壊されるほか、下痢や嘔吐といった消化器症状が出ることがあり、重症化すると死に至ることがあります。体重50㎏の人では34個の未熟なトマトが致死量であるといわれており、体重3㎏の犬では2個となりますので、意外と致死量は少ないことがわかります。
スーパーマーケットではできるだけ完熟トマトを購入するように心がけ、ヘタは必ず取り除いてから犬に与えるようにしましょう。また、トマトが栽培されている畑の近くをお散歩する際は、犬が青いトマトや花、茎などを食べないよう注意してください。
トマトの加工品は食べさせない
トマトゼリーやトマトジュースは犬に与えないようにしましょう。これらの加工品には、人が食べやすいよう砂糖や塩が添加されています。糖分や塩分過多となる恐れがあるため、加工品を犬に与えるのはやめましょう。
また、トマトの加工品には合成保存料や着色料といった添加物が含まれていることも多いです。犬の健康のためにもできるだけ避けるようにしてください。
アレルギーを確認する
まれにトマトのタンパク質に反応してアレルギー症状が出る犬がいます。トマトを与える際は、体をかゆがったり赤い発疹ができたりしていないかよく観察し、少量ずつ与えるようにしましょう。
また、犬にスギやヒノキ科の花粉アレルギーがある場合は、トマトを食べるとかゆみや発疹といった症状があらわれることがあります。
アレルギーは、すぐに症状を発症する即時型と、遅れて発症する非即時型があります。即時型はアレルゲンを取得して数分後、非即時型は半日程度時間が経ってから発症します。
アレルギーは、くしゃみや鼻水といった軽症から、嘔吐、呼吸困難といった重症までさまざまな症状を引き起こします。犬にトマトを与えるときは、これらの症状があらわれていないかを注意深く観察するようにしましょう。もしアレルギーの症状があらわれた場合は獣医師の診察を受け、今後はトマトを与えないよう注意してください。