梨は犬に与えても大丈夫な果物です。夏の暑い盛りに出回る梨はみずみずしく甘みもあるので、犬も喜んで食べてくれるでしょう。
犬の健康に役立つ成分が含まれている梨ですが、与えるときには注意しなければならないこともあります。
この記事では、梨の適切な与え方や、梨を与えるときの注意点について解説します。
犬は梨を食べてもいい
冒頭でもお伝えしたように、梨は犬に与えても大丈夫な果物です。梨の約90%が水分のため、水分補給に役立つほか、犬の健康維持に必要な栄養素も含まれています。
梨に含まれる主な栄養素(梨の可食部100gあたり)
エネルギー | 38㎉ |
水分 | 88g |
タンパク質 | 0.3g |
脂質 | 0.1g |
炭水化物 | 11.3g |
灰分(無機質) | 0.3g |
梨にはこれらの他にも、犬の体に役立つ栄養素が含まれています。
カリウム | ミネラルの一種であるカリウムは体内の浸透圧を調整する働きがあります。また、カリウムには利尿作用もあり、体内の余分な塩分を体外に排出して血圧を下げる働きもあります。 他にもカリウムは、全身の細胞が正常に働くために欠かせないミネラルです。筋肉や神経の機能を正常に保つ働きもあります。 |
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食物繊維 | 梨に含まれる食物繊維は水溶性で、腸内環境を整えたり、糖やコレステロールの吸収を抑制したりする働きがあります。また、便の嵩を増やして排便をスムーズに促す効果もあります。 |
プロテアーゼ | 梨にはタンパク質の消化を促すプロテアーゼという酵素が含まれています。プロテアーゼは梨のほかにもパイナップルやキウイフルーツにも含まれており、肉を柔らかくするなどの働きがあります。ドッグフードを食べると下痢をするなど、消化吸収力の弱い犬には、プロテアーゼが含まれている食べ物を一緒に与えてみると良いでしょう。 |
アスパラギン酸 | アスパラギン酸はアミノ酸の一種で、体に有害なアンモニアを体外に排出し、中枢神経を保護する役割があります。 また、体に溜まった乳酸を分解してエネルギーに変える作用があるため、疲労回復にも役立つといわれています。 |
犬に与える梨の量と調理法
梨を犬に与えるときは、食事ではなくおやつとして与えるようにしましょう。 ここでは、犬に梨を与える量や調理法について解説します
梨は小さく切って生のまま与える
梨は生のまま与えても大丈夫です。ただし、口の小さな小型犬や、与えられたものをあまり噛まずに食べてしまう犬は、梨を喉につまらせる可能性があるため、小さく切って与えるようにしましょう。
シャクシャクと歯ごたえの良い梨ですが、噛む力の弱い老犬に与えるときは、すりおろしてあげると食べやすくなります。
犬に梨を与えるときは、以下の量を目安にしてください。
小型犬(体重1~3㎏程度) | 29g~65g |
中型犬(体重4~10㎏程度) | 83g~165g |
大型犬(体重11~30㎏程度) | 178g~377g |
上記の量は、去勢・避妊手術をしていない健康で普通の活動量の成犬を対象としています。犬の年齢や運動量、健康状態によっては過剰摂取となる場合がありますので注意しましょう。
犬に梨を与える際の注意点
梨の種や皮は取り除く
犬に梨を与えるときは、梨の皮や種、芯は取り除くようにしてください。梨の皮や芯は消化しにくく、腸に負担をかけてしまうためです。 また、梨の種には微量ですがアミグダリンという有害成分が含まれています。アミグダリンは腸で分解・吸収される際にシアン化合物(青酸)を発生させ、嘔吐や下痢といった中毒を起こすリスクがあります。少量であれば問題ありませんが、多量の場合は命にかかわるため、梨を与えるときは種を取り除くようにしてください。
未成熟の梨は食べさせない
果物店やスーパーマーケットなどで販売されている梨は、完熟させたものですので心配ありませんが、未熟な梨にも種と同様にアミグダリンが含まれているため注意が必要です。
梨を作っている畑のそばを散歩するときは未熟な梨が落ちていないか、梨狩りの梨を与えるときは実が熟しているかどうかをよく観察し、犬が未熟な梨を食べないように注意しましょう。
梨の加工品は食べさせない
梨のゼリーやジュースなどの加工品には砂糖が含まれています。糖分過多になるため、梨の加工品を与えるのはやめましょう。また、梨の加工品には合成香料や合成保存料が含まれていることも多いです。犬の健康のためにもできるだけ避けてください。
アレルギーを確認する
梨には微量ですがたんぱく質が含まれています。梨のたんぱく質も、ごくまれではありますが異物として反応し、食物アレルギーを発症する可能性があります。
アレルギーは、すぐに症状を発症する即時型と、遅れて発症する非即時型があります。即時型はアレルゲンを取得して数分後、非即時型は半日程度時間が経ってから発症します。
アレルギーは、くしゃみや鼻水といった軽症から、嘔吐、呼吸困難といった重症までさまざまな症状を引き起こします。犬に初めて梨を与えるときは少量ずつとし、アレルギーの症状が出ていないか様子を見るようにしましょう。もし、アレルギーの症状が現れた場合は獣医師の診察を受けるとともに、今後は梨を与えないよう注意してください。