りんごは犬が食べても大丈夫な果物です。りんごに犬の体に外を及ぼすような成分は含まれていませんので、おやつとして与えると喜ぶでしょう。りんごには犬の健康に役立つ成分が含まれていますが、与えるには少し注意しなければいけないこともあります。
この記事では、りんごの適切な与え方や、りんごを与える際の注意点について解説します。
犬はりんごを食べてもいい
冒頭でもお伝えしたように、りんごは犬に与えても問題ありません。りんごの約84%は水分ですが、犬の健康維持に役立つ栄養素も含まれています。
りんごに含まれる主な栄養素(りんご可食部100gあたり)
エネルギー | 53㎉ |
水分 | 84g |
タンパク質 | 0.1g |
脂質 | 0.2g |
炭水化物 | 15.5g |
灰分(無機質) | 0.2g |
これらの栄養素のほかにも、カリウムや食物繊維、りんごポリフェノール、りんご酸といった有用な成分も含まれています。
カリウム | りんごには、ミネラルのひとつであるカリウムが含まれています。カリウムには、過剰な塩分を体外に排出し、体内の浸透圧を調整して血圧を下げる働きや、腎臓病を予防する役目もあります。 ただし、すでに腎臓病や高カリウム血症など、カリウムの摂取に制限がある犬にりんごを与える場合は獣医師に相談してください。 |
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食物繊維 | りんごにはペクチンという食物繊維が含まれています。食物繊維は腸内環境を整え、スムーズな排便を促す効果があります。腸内環境は免疫力とも深い関わりがあるため、積極的に摂りたい成分です。 |
りんごポリフェノール | ポリフェノールは強い抗酸化作用が期待でき、摂取することで老化や病気の予防が期待できます。ポリフェノールはりんごの皮に多く含まれているので、皮ごと与えるようにしましょう。 |
りんご酸 | りんごに含まれているりんご酸は、新陳代謝を活発にし、疲労の原因である乳酸を減らす効果があると考えられています。 また、りんご酸には尿に含まれているカルシウムを体外に排出する働きがあり、シュウ酸カルシウム結石の予防も期待できます。 |
犬に与えるりんごの量と調理法
犬にりんごを与えるときは食事として与えるのではなく、おやつとして与えるようにしましょう。
ここでは、犬にりんごを与える量や調理法について解説します。
りんごは小さく切って生のまま与える
りんごは生のまま与えるようにしましょう。ただし、あまりに大きなカットだと喉につめる可能性があるため、あごの小さな小型犬やあまり食べ物を噛む力のない老犬に与えるときは小さく切ったり、すりおろしたりして与える方が安全です。
ポリフェノールを多く含む皮は積極的に与えたい部位ですが、消化が悪いため、できれば皮ごとすりおろして与える方が良いでしょう。皮は汚れや残留農薬の心配があるため、よく洗ってから与えるようにしてください。
与えるときは以下の量を目安に与えてみてください。
小型犬(体重1~3kg) | 20g~45g |
中型犬(体重4~15kg) | 77g~152g |
大型犬(20~30kg) | 189g~256g |
上記の量は、去勢・避妊手術をしていない健康で普通の活動量の成犬を対象としています。犬の年齢や運動量、健康状態によっては過剰摂取となる場合がありますので注意しましょう。
犬にとってりんごは甘くて美味しい食べ物です。過剰に与えるとドッグフードを嫌がる犬も出てくるため、与えすぎには注意してください。
犬にりんごを与える際の注意点
犬にりんごを与えるときは、以下の3つの注意点を守るようにしましょう。
りんごの種や芯は取り除く
りんごの種や芯には、「アミグダリン」という犬にとって有害となる成分が含まれています。
アミグダリンが腸内で吸収されると嘔吐や痙攣などを起こす「アミグダリン中毒」を引き起こす可能性があります。
そのため、犬にりんごを与えるときは、種や芯を取り除いてから与えるようにしてください。芯や種を大量に食べない限り問題はありませんが、念のため注意するようにしましょう。
また、犬が誤って芯を丸ごと食べてしまい、腸に詰まらせてしまうリスクもあります。取り除いた芯は犬の目の届く場所に置かないよう、速やかに処分しましょう。
りんごの加工品は食べさせない
りんごを加工したおやつはたくさん販売されていますが、糖分が多いため、犬には与えない方が良いでしょう。砂糖や香料などの合成添加物が含まれていないりんごジュースやりんご味のゼリーなどは与えても大丈夫です。
犬のアレルギーを確認する
アレルギーには花粉やハウスダストなどの環境因子によるものと、食物による食物アレルギーがあります。いずれも体を守ろうとする免疫が、花粉や食べ物など特定の異物に対して過剰に反応し、かゆみや赤みが発症されるものです。
りんごはバラ科植物ですので、過去にさくらんぼやイチゴ、梨などバラ科植物でアレルギー反応が出た場合は、りんごでも反応が出ることがあるため避けた方が良いでしょう。
また、りんごには微量ですがたんぱく質が含まれているため、犬がアレルギー反応を起こす可能性があります。
なお、アレルギーには即時型と非即時型があります。即時型はアレルゲンに触れたり食べたりしたあと、数分で症状が現れます。非即時型は、半日以上経ってから症状が現れることが多いです。
アレルギーの症状は、軽度の場合はくしゃみや鼻水、目の周りが赤くなってかゆみを伴うことがあります。重度になると、じんましんや呼吸困難などの深刻な症状を引き起こすことがあります。 犬に初めてりんごを与えるときは少量を与えてみて、皮膚をかゆがっていないか、嘔吐はないかなど様子を観察するようにしてください。アレルギー反応が出るようなら獣医師の診察を受け、今後はりんごを与えるのはやめるようにしましょう。