いちごは犬が食べても大丈夫な果物です。甘くて美味しいいちごは、甘味が好きな犬にとっても好きな食べ物のひとつでしょう。
とはいえ、どれくらいの量をあげればいいのか、そもそも犬にいちごを与えてもいいのかわからない飼い主さんもおられるのではないでしょうか。そこでこの記事では、いちごの適切な与え方や量、与える際の注意点について解説します。
犬はいちごを食べてもいい
いちごは犬が食べても大丈夫な果物です。いちごはビタミンCやカリウムのほか便通を整える食物繊維も豊富ですので、過剰に与えなければ犬の健康維持に役立つでしょう。
いちごに含まれる主な栄養素(可食部100gあたり)
エネルギー | 31㎉ |
水分 | 90g |
タンパク質 | 0.9g |
脂質 | 0.1g |
炭水化物 | 8.5g |
灰分(無機質) | 0.5g |
ビタミンC | ビタミンCは、強い抗酸化作用による病気の予防や老化防止に役立つ成分です。また、タンパク質からコラーゲンを生成するのにも必要な成分ですので、皮膚や骨などの健康を維持するのにも必要といわれています。 犬は自身の体内でビタミンCを作ることができるため、食事やおやつなどでビタミンCを補給する必要はないといわれてきました。しかし、飼育環境や加齢によってビタミンCの合成能力が落ちている可能性があるため、食事やサプリメントなどで補給する必要があります。 |
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アントシアニン | アントシアニンはポリフェノールの一種で、抗酸化作用・抗炎症作用があるとされています。 また、視覚機能を改善する効果や白内障予防効果なども期待できます。 |
カリウム | いちごには可食部100gあたり170mgのカリウムが含まれています。カリウムは体液の浸透圧を調整する働きがあり、血圧を一定に保ったり余分な塩分を体外に排出したりする役目があります。 健康な犬がいちごを食べた場合、おやつとして与える量のいちごではそれほど心配ありません。しかし老犬や腎臓病を患っている犬の場合、カリウムの過剰摂取によって血液中のカリウム濃度が高まり、心臓に負担のかかる「高カリウム血症」になる可能性があります。腎臓病や老犬にいちごを与える場合は、事前に獣医師に相談するようにしましょう。 |
食物繊維 | いちごには、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がバランス良く含まれており、食後の血糖値の上昇を緩やかにしたり、便のカサを増やして便通をよくしたりする効果が期待できます。 |
キシリトール | いちごには甘味成分のキシリトールが含まれています。キシリトールは犬には有害な成分で、大量に摂取すると肝不全や低血糖症といった症状が現れ、最悪の場合死に至ることがあります。アメリカでは、体重10㎏の犬が1gのキシリトールで重篤な低血糖に陥る可能性があると注意喚起されたこともあります。 しかし、いちごに含まれるキシリトールはごく微量です。いちご100gあたりに含まれるキシリトールはわずか44㎎のため、中毒症状が現れるまで食べるには体重10㎏の犬では、小さないちごで320粒ほど食べなければなりません。 これだけの数を食べるのは現実的ではないため、いちごのキシリトール中毒については心配しすぎないようにしましょう。 |
犬に与えるいちごの量と調理法
犬にいちごをあたえるときは、以下の表を摂取量の目安とし、食事ではなくおやつとして与えると良いでしょう。
小型犬(体重1~3㎏程度) | 30g~73g |
中型犬(体重4~10㎏程度) | 92g~183g |
大型犬(体重11~30㎏程度) | 188g~417g |
上記の量は、去勢・避妊手術をしていない健康で普通の活動量の成犬を対象としています。犬の年齢や運動量、健康状態によっては過剰摂取となる場合がありますので注意しましょう。
また、上記の表は犬の1日の総摂取カロリーの目安1割として計算しています。犬の体調や年齢によっては下痢や嘔吐などの症状があらわれる場合があります。特に腎臓病を患っている犬にいちごを与えるときは、まずは獣医師の指示に従うようにしてください。
いちごは小さく切って生のまま与える
いちごを犬に与えるときは、生のまま与えるようにしましょう。ただし、丸ごとの飲み込んでしまう恐れのある犬や、あまり噛まない犬の場合は食べやすいよう小さくカットするか、スプーンなどでつぶして与えてください。
犬にいちごを与える際の注意点
いちごのへたは取り除く
犬にいちごを与えるときは、ヘタを取り除いてあげましょう。チワワやポメラニアンなど、口の小さな犬がヘタをまるごと食べると喉に詰まる可能性があります。
ヘタを取るのはいちごを水洗いした後がベターです。ヘタを取り除いた切り口からビタミンCが流れ出てしまうのを防げます。
いちごの加工品は食べさせない
犬にいちごの加工品は与えないようにしましょう。いちごゼリーやいちごジャムのような加工品は、糖分やカロリーが高く、過剰摂取となるためです。また、いちごの加工品には香料や着色料などの添加物が含まれていることも多いです。犬の健康のためにも与えないようにしましょう。
アレルギーを確認する
いちごには微量ですがタンパク質が含まれており、まれにいちごのタンパク質に反応してアレルギー症状が出る場合があります。過去に同じバラ科植物のりんごや梨などにアレルギー症状が出たことがある場合は、いちごでも同じ症状が出る可能性があります。
いちごを与える際は、赤い発疹が出ていないか、体をかゆがっていないかなどをよく観察し、注意深く与えるようにしてください。
アレルギーは、すぐに症状を発症する即時型と、遅れて発症する非即時型があります。即時型はアレルゲンを取得して数分後、非即時型は半日程度時間が経ってから発症します。
犬にいちごを与えるときは、かゆみや赤い発疹、下痢などの症状があらわれていないかを注意深く観察するようにしましょう。もしアレルギーの症状があらわれた場合は獣医師の診察を受け、今後はいちごを与えないよう注意してください。