犬がメロンを食べても、基本的には問題ありません。ただし、犬にメロンを与えてはいけないケースもあります。犬にメロンを与える前に、適切な量や与え方を知っておきましょう。
犬はメロンを食べてもいい
犬がメロンを食べても、基本的には問題ありません。メロンの主成分は、糖質とたんぱく質、食物繊維などからなり、ほかにもカロテンやビタミンC、カリウムといった栄養素を多く含んでいます。また、メロンには100gあたり87.8gの水分が含まれているため、メロンの摂取は水分補給にもつながります。
カリウム | カリウムは、神経刺激の伝達や心臓・筋肉機能を保つために重要な栄養素で、メロン100gにつき340mgほど含まれています。 |
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βカロテン | βカロテンは、カリウムとともに細胞の浸透圧を調整する作用を持っています。また、必要な分だけビタミンAに合成され、皮膚や粘膜、免疫機能を正常に維持してくれます。メロン100gあたりのβカロテンの含有量は、32μgです。 |
ビタミンC | ビタミンCは、メロン100gあたり18mgほど含まれています。ビタミンCには抗酸化作用があり、鉄分の吸収の補助や免疫力を向上させるはたらきを持っています。 |
犬に与えるメロンの量と調理法
メロンは、食事ではなく、あくまでおやつとして与えましょう。
ドッグフードは、犬にとって必要な栄養バランスをよく考えたうえでつくられています。メロンを食べすぎると満腹になり、ドッグフードを食べる量が減って、栄養バランスが偏ってしまう可能性があります。
犬に与えるおやつは、1日に与えるフードの10%程度までと言われています。一般的なメロンの小玉サイズで1個1kgとすると、皮と種を除いた可食部分は約50%※であることから、可食部の重さは500gになります。メロンのカロリー量は100gあたり40kcal※なので、1日に必要なカロリーを10%として算出すると、以下の量が目安となります。ただし、これらの数値はあくまで目安のため、与えすぎに注意しましょう。
成犬の必要カロリー(去勢・避妊をしていない)
理想体重 | 1日に必要なカロリー | 必要なカロリーの10% | メロンの大きさ |
4kg | 342kcal | 34.2kcal | 1/8個以下 |
10kg | 666kcal | 66.6kcal | 1/4個以下 |
メロンは小さく切って生のまま与える
メロンを与えるときは、小さく切って生のまま与えましょう。小型犬や食べ物をあまり噛まない犬はとくに、メロンを喉に詰まらせて窒息するおそれがあるためです。
犬にメロンを与える際の注意点
犬にメロンを与える際は、いくつか注意しなければいけない点があります。大事な犬を危険に晒さないよう、以下の点に注意して進めましょう。
メロンの種や皮は取り除く
メロンを与える際に、種や皮は必ず取り除くようにしましょう。メロンの種と皮は消化に悪く、腸に詰まる可能性もあり、最悪の場合はメスを入れての開腹手術をしなければいけないこともあります。犬がメロンの種や皮を食べないよう取り除くことはもちろん、犬の手が届く場所に、食べ終わった種や皮を放置しないようにしましょう。
メロンの加工品は食べさせない
犬にメロンを食べさせるのは問題ありませんが、メロンの加工品は食べさせないようにしましょう。メロンのゼリーやコンポート、ジュースといった加工品には、砂糖が大量に含まれていることもあるためです。また、メロンに見立てた菓子類やアイスなども与えないようにしてください。
糖尿病の犬や肥満傾向のある犬には与えない
メロンに多量に含まれている糖分は、糖尿病や肥満を悪化させます。糖尿病はインスリンが十分働かないために、血中のブドウ糖が増えてしまう病気で、摂取する糖質を制限しなければなりません。また、糖分を摂りすぎるとブドウ糖が脂肪に変わり、肥満を加速させてしまいます。これらのことから、糖分が多量に含まれているメロンを、糖尿病の犬や肥満傾向のある犬には与えないようにしましょう。
腎臓病の犬には与えない
メロンには、細胞の浸透圧を調整するカリウムが多量に含まれています。カリウムは生命維持に欠かせない栄養素ですが、腎臓病の犬はカリウムを体外に排出することができません。腎臓病の犬がカリウムを摂りすぎると、カリウムを体外に排出しすぎる高カリウム血症や、カリウムを大量に排出する低カリウム血症を引き起こすことがあります。そのため、腎臓病の犬にはメロンを与えないようにしましょう。
メロンに対してアレルギーを持つ犬もいます。メロンアレルギーの犬にメロンを与えると、呼吸困難や下痢の症状が出ることがあります。
犬のアレルギーには、環境因子による犬アトピー性皮膚炎と食物による食物アレルギーの2種類があり、どちらも症状や症状が出る部位がよく似ています。また、メロンに対してアレルギーを持っていなくても、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)に似た物質に対してアレルギー反応を起こす「交差反応 」が起きることもあります。そのため、メロンの性質に似たスギ、シラカバ、ヨモギやブタクサなどにアレルギーを持っている犬にも、メロンを与えるのは避けましょう。
犬の食物アレルギーが発症するのはアレルゲンとなる食べ物を食べてから数十時間後と遅く、食べ物が原因で発症したかどうかがわかりにくいため、注意してください。
こうしたアレルギー症状の悪化を防ぐために、犬にメロンを初めて与えるときには、果汁や果肉を少しだけ与えて様子を見てください。万が一おかしな症状が出たら動物病院をすぐに受診しましょう。