ペットフードを購入するとき、フードのパッケージに記載されている情報を確認して選びたいと思いながらも、その記載内容がよく理解できていない飼い主の方も少なくないでしょう。ここでは、パッケージに記載されている情報のうち、特に、総合栄養食と一般食の違いについて解説いたします。
ペットフードの目的食の種類
ペットフードの表示に関する公正競争規約に則り、食事の目的に応じて「総合栄養食」「間食」「療法食」、そのいずれにも該当しない「その他の目的食」に分類され、必ずパッケージやラベルに表記されています。
区分(表記) | 定義 |
総合栄養食 | 指定された成長段階において、これと水を与えるだけで必要な栄養バランスを満たし、健康を保つことを目的としている。 |
間食 | 栄養補給のみを目的としておらず、ご褒美として限られた量を与えることを意図したもの。 |
療法食 | 獣医師の指導のもとで食事管理に使用されることを意図したものであり、治療を補助する目的で使用される。 |
その他の目的食 ※「一般食」「副食」「栄養補完食「カロリー補給食」などと表記される | 総合栄養食、間食、療法食以外の総称で、総合栄養食以外の缶詰・レトルトフード、ペット用サプリメント、ふりかけ、飲料など、食欲増進や、特定の栄養成分などを補給する目的で与えられる。 |
総合栄養食とは
主食として与えることを目的とした食事です。ペットの成長段階に合わせた適切な栄養がバランスよく含まれており、水と総合栄養食だけを与えていればペットの健康は保たれるとされています。
「総合栄養食」と商品に表記するためには、ペットフード公正取引協議会が定める試験をクリアし認定を受ける必要があります。ペットフード公正取引協議会は、日本国内のペットフードの栄養基準や原材料等の基準を公表している日本の任意団体です。日本で販売されているペットフード販売企業の75社(2023年8月時点)が加盟し、国内ペットフード売上高の90%ほどを占めております。
ペットフード公正取引協議会の認定を受け「総合栄養食」と表示のある商品は、ペットに必要な栄養素の量(数値)を満たしています。しかし、品質の担保まではなされていない点に注意が必要です。必要な栄養素の値さえクリアしていれば、原材料の品質については特にチェックされることなく認定を受けることができるからです。
総合栄養食は原材料だけでは栄養素の基準をクリアできないケースが多く、認定を受けるためにAAFCO(米国飼料検査官協会)が定める基準を満たすよう添加物を使用している場合がほとんどです。つまり「総合栄養食」だから安心ということはなく、必ず飼い主が愛犬のために責任を持って品質を確認する必要があります。
間食とは
主食とは別にご褒美やコミュニケーションの手段として与える食事で、一般にはスナック、トリーツなどにこの表示がされています。与えすぎには注意が必要で、愛犬の一日の必要なカロリー量の20%以下に抑える必要があります。
療法食とは
特定の病気や健康状態に対応するために、特別に栄養バランスが調整された食事のことです。必ず獣医師の指導のもとで与えなくてはいけません。
その他の目的食とは
「一般食」などと表示され、食欲増進を狙って総合栄養食にトッピングして、おかずのような位置づけで与えられることを想定した食事です。スープや缶詰など形状も豊富で嗜好性に優れていることが特徴ですが、それだけを主食として与えると栄養のバランスが偏る可能性もあります。一方で、高品質の一般食の中には主食として与えて問題のない商品もあります。
愛犬の主食を選ぶ際の注意点
愛犬の主食を選ぶ際には、目的食の種類だけを確認するのではなく、原材料や成長ステージに合わせた栄養成分が満たされている商品かどうかを判断する必要があります。
原材料を確認する
「原材料表示」には、重量の割合の大きいものから順に記載するよう、ペットフード公正取引評議会によるルールが設けられています。そのため、原材料表示を確認すれば、主な原材料が何か、どのような材料が使われているかがわかります。
ただし、商品によっては細かく記載するスペースが確保できない場合があるため、「肉類」や「穀類」などの分類名で記載してもよいとされており、原材料の詳細や質を判断するのが難しいことがあります。
詳細な記載があっても、ポークミールやビーフミール、チキンミールなど、何の種類かはっきり分かる書き方ではなく、ミートミールや家禽ミールといったあいまいな書き方をしている場合は品質の低い食材が混ぜられている恐れがあります。
実際の商品ページにおいて、使われている原材料の品質について分かりやすく書かれているものが最も安心です。パッケージの原材料表示だけではなく、商品のホームページなども参照するようにしましょう。
栄養素の割合を確認する
「栄養成分(保証分析値)」には、5大栄養素であるタンパク質、脂質、繊維質、水分、灰分の含有量を記載するよう、ペットフード公正取引評議会によるルールが設けられています。特に、保証分析値は、重要な栄養素や水分の最低含有量を保証するための表示で、最低どの程度含まれているかがわかります。メーカーによっては必須脂肪酸や、リン、カルシウムなど、フードに含まれる全ての成分が記載されているものもあります。
適応する成長段階を確認する
総合栄養食の場合、そのフードが適応する成長段階も必ず表記されています。成長段階は、「幼犬期/成長期またはグロース」「成犬期/維持期またはメンテナンス」「妊娠期・授乳期」にわかれています。これらの3段階全てを満たすものとして、「全成長段階」又は「オールステージ用」があります。犬は成長段階によって必要とするエネルギーの量が違うので、愛犬のライフステージにあったものを選びましょう。