【現地レポート】八代出身の私が見た被災地のリアル。報道に映らない現場の惨状と、今本当に必要な支援

2026/08/12

〜「健康いぬ生活」として、愛犬と暮らす皆さんに伝えたいこと〜

こんにちは。「健康いぬ生活」のNです。
この度発生した「令和8年熊本地震」において、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

実は、私の出身地は熊本県八代市です。今回の地震で私の実家も被災し、先日、片付けと手伝いのために急遽八代へ戻ってまいりました。

当然新幹線や電車は運転を見合わせていましたので車で帰りましたが、道中では多くの建物が倒壊したり、アスファルトが隆起して通行止めになっていたりと、普段の2~3倍ほどの時間をかけて帰路につきました。

テレビやネットのニュースでも連日被災地の様子が報じられていますが、現地に足を踏み入れた瞬間、ニュースの画面越しでは決して伝わらない「現場の空気」と「惨状」に言葉を失いました。

今回は、八代出身の当事者として見た現地のリアルと、愛犬の健康と命を守る「健康いぬ生活」の運営者として皆さんに今一番伝えたいことをお話しします。

1. テレビには映らない、八代の「空間の惨状」

メディアで報じられるのは、どうしても被害が特に大きかった一部の建物や地域など「点」の情報になりがちです。しかし、実際に現地に入って目にしたのは、街全体に広がる深刻な日常の失われ方でした。

実家の片付けに入りましたが、家の中は家具や家電が散乱し、足の踏み場もありません。片付けても片付けても終わりの見えない作業に、家族も周囲の人々も体力的・精神的に限界を迎えています。

道路の亀裂や瓦礫の山により、日常の移動すら容易ではありません。「報道されているよりも、現場ははるかに厳しい」――それが、現地に立った私の偽らざる実感です。

1-1 実家と祖父母宅の状況

私の実家は、地震で大きな被害を受けた日本製紙八代工場から車で10分ほど行ったところにあります。
地震が発生した際は、両親は関東に行っており、幸い怪我はありませんでした。

建物は外側から見ると問題ないように見えますが、いざ家の中に踏み入れると悲惨な状況でした。テレビは画面がバキバキに割れ、思い入れのある食器は半分以上が破損しました。
被災した実家の様子1
被災した実家の様子2
また、実家から10分ほどのところにある祖父母の家では、地震発生時85歳の祖母が一人でいました。大きな怪我はなかったものの、断水があることや揺れが続いていたため、避難所へ避難することとなりました。

祖父母宅の隣には、1876年より建つ市指定有形文化財の浄沢寺がありますが、浄沢寺は全壊してしまい、敷地にあった墓石が祖父母宅へと落ちていました。「約100㎏ほどある墓石が、人が通っているときに落ちてきたら・・・」と想像すると、震えが止まりません。

被災した実家の様子1
被災した実家の様子2
祖父母の家では断水が続きトイレが使用できないため、おむつで用を足していましたが、おむつも十分に手に入る状況ではないため、同じおむつを長時間使っていました。衛生的に良いものではなく、水が一日でも早く復旧してほしいと強く祈るばかりです。

1-2 慣れ親しんだ場所の悲惨な光景

片付けがひと段落したため、両親とともに状況把握を兼ねて八代市内を歩きました。あらゆるところで道が隆起・ズレが生じており、暗い中歩くのは大変危険でした。
被災した地域の様子1
被災した地域の様子2
ライトをつけて気を付けながら歩くと、小さい頃から初詣に毎年行っていた八代宮の本殿は全壊。守り神として、参拝客を長い間見守ってくれていた狛犬も崩れ落ちていました。

この光景は、八代出身として見ていられない、本当にショックの大きいものでした。毎年、年の始まりにウキウキとおみくじを引いたり、良い一年になりますようにとお願いごとをしたりしていた場所は、あの一瞬の揺れですべて壊れてしまったのです。

また、八代市には、1688年に八代城主である松井直之が建てた庭園の「松浜軒」があります。八代市指定の有形文化財である庭園には、四季折々の花々が美しく、江戸時代の趣あるたたずまいをよく残した庭園があり、観光客や八代市民に長く親しまれてきました。

しかしながら、私が見た松浜軒は全く異なる姿に変わり果て、さらに崩れる危険性があったため、近づくことも許されませんでした。

八代宮や松浜軒、八代城跡の石垣、浄沢寺などの八代のシンボルとして昔から親しまれた建物は、ほどんどが壊れてしまいました。私は、その姿を立ちすくんで見ることしかできませんでした。

1-3 物資が届きにくく、我慢を強いられる生活に

地震発生後、あらゆるところで支援の輪が広がっているのは大変ありがたいことです。しかしながら、氷川・八代は道路の状況が悪く、『支援物資はあるのに、必要な人へ届かない』というのが現状です。

電気が通り、スタッフのみなさんが一生懸命片付けをされたであろうスーパーでも、商品がほとんどない状況でした。
スーパーの様子1
スーパーの様子2
両親は、私が支援物資を持っていくまで、冷蔵庫にあるものでやりくりし、制限しながら食事をしていたということです。冷蔵庫から物が少なくなるたびに、精神的に余裕がなくなっていったと言っていました。
私たちの生活に欠かせない電気、水、ガス。これらがあるのは当たり前ではありません。このように大変な人もいる中、無駄遣いをしないようにしたいと強く思いました。

2. 避難生活の現実と、言葉の言えないペットたちのストレス

2-1 ペットとの同行避難の難しさ

避難所での生活はもちろんですが、壊れた自宅での在宅避難や、車中泊を余儀なくされている方も多くいらっしゃいます。
その傍らには、不安そうな表情で飼い主さんを見つめる「ワンちゃん・猫ちゃんたち」の姿がありました。

相次ぐ余震、慣れない匂いや音、飼い主さんの緊張感。言葉を発せないワンちゃんたちもまた、人間と同じかそれ以上の強いトラウマとストレスに晒されています。食欲を無くしてしまったり、怯えて体調を崩してしまったりする子も少なくありません。

いまだ、ペットとの同行避難は十分に理解が広がっているとはいえません。「ペット可」という避難所であっても、他の避難している方へ迷惑をかけないようにと、匂いや鳴き声を気にして避難できない人も、今回の地震で発生しました。
「同行避難」の大切さを分かりながらも、実際の現場での難しさを肌で感じました。

2-2 創業犬チロちゃんの旅立ち

そして、健康いぬ生活として大きな出来事がありました。
健康いぬ生活の創業犬として、様々な場面で大活躍してくれていたチワワのチロちゃん。

もともと病気を抱えていたものの、常に明るい笑顔を届けてくれ、家族と馬肉が大好きな子でした。チロちゃんの家族には3人の娘さんがいますが、一緒に遊んで、笑って、兄妹のようにいつもそばにいてくれて、娘さんの成長を近くで見守り続けてきたのです。

しかしながら、この熊本地震をきっかけに心臓に大きな負担がかかり、地震発生から5日後、お空に旅立ちました。
地震があっても、チロちゃんのご家族が無事だったのを見て安心したかのように、息を引き取りました。まだ11歳という若さでのお別れとなり、ご家族はもちろん、健康いぬ生活のスタッフも悲しみに溢れました。

チロちゃんが亡くなる約3週間前、プロのカメラマンに撮影してもらった写真には、いつも通りの笑顔でカメラを見つめ、モデル犬として立派なチロちゃんの姿がありました。この写真は私たちの宝物です。

避難所の声やチロちゃんのことから、人間の支援すら行き届きにくい混乱の中で、ペットたちの健康やメンタルケアを維持することの難しさを痛感しました。

3. 「健康いぬ生活」として、皆さんに今伝えたいこと

現地でこの光景を目の当たりにし、私が強く感じたのは「日頃の備えと健康管理が、いざという時に愛犬の命を分ける」ということです。
被災現場で本当に感じたノウハウを、皆さんに共有させてください。

① 「フードと水」の備蓄は最低1週間分
非常時、ペット用の物資が届くのにはどうしても時間がかかります。特に療法食やこだわりがあるフードを食べている子は、最低でも1週間分(できれば2週間分)のストックを日常的にローテーション(ローリングストック)しておくことが不可欠です。

② 日頃からの「心の健康(クレートトレーニング)」
環境が一変した時、自分の匂いがする「クレート(ハウス)」が安心できる居場所になります。クレートで落ち着ける習慣がついているかどうかで、避難時のストレスレベルは大きく変わります。

③ 環境変化に負けない「体づくり」
水不足でフードをふやかして与えたり、いつもと違う環境で過ごしたりする際、試されるのは「普段からの消化吸収力と免疫力」です。日頃から健康な腸内環境や体力を整えておくことが、最大の防災になります。

4. 今、私たちが被災地・八代のためにできること

報道の量が減っていくと、世間の関心も少しずつ薄れていってしまうのが災害の切ない現実です。しかし、現地での復興作業や、被災された方々・ペットたちの本当の苦しい生活は「これから」始まります。
今、私たちができる一番の支援は「関心を持ち続けること」です。

正しい情報を知り、周囲に共有すること
信頼できるルートを通じた募金や支援物資の提供
自分の愛犬の防災対策を、今日今すぐに見直すこと

一人ひとりの小さな関心と行動が、被災地の大きな支えになります。

最後に

生まれ育った八代の街がこのような姿になり、胸が締め付けられる思いです。しかし、現地の人々や愛犬たちが少しずつでも笑顔を取り戻せるよう、私にできる発信や支援をこれからも続けていきます。
この記事が、皆さんと大切な愛犬の「万が一の備え」を見直すきっかけになれば幸いです。
被災された皆様とご家族、そして大切なワンちゃんたちが、一日も早く穏やかな日常を取り戻せることを心より願っております。