愛犬が快適に過ごせる「ハウス(居場所)」の設置

「もうすぐ新しい家族を迎える!」
そんなワクワクした気持ちの中で、準備を進めている飼い主様も多いのではないでしょうか。

でも、ハウス(ケージ)を用意する段階になって、「狭いハウスに入れるのは可哀想かな?」「家族なんだから、リビングで自由にさせてあげたいな」と迷ってしまうことはありませんか?
そう思うのは、飼い主様としてとても自然な優しさです。

しかし実は、お迎えしたばかりのワンちゃんにとって、広すぎる環境は「どうしたらいいか分からない」という不安を招いてしまうこともあるのです。

本記事では、大切にされているインテリアの雰囲気を崩さず、これから来る愛犬が心からホッとできる「居場所(ハウス)」を準備するためのポイントをご紹介します。

1. 「かわいそう」は誤解?ワンちゃんが本能で求める「狭い場所」の安心感

「ハウス=閉じ込める場所」
そのように感じて、購入や設置に抵抗を感じる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、ワンちゃんの祖先の暮らしを少し想像してみてください。
彼らはもともと、土に掘った狭くて薄暗い「巣穴」で暮らしていた動物です。背中や側面が壁で守られている場所こそが、外敵から身を守り、一番安心して眠れる場所なのです。

特にお迎え直後のワンちゃんは、知らない場所に来てとても緊張しています。
そんな時、広すぎるリビングの真ん中で「どこで寝てもいいよ」と言われるのは、人間で例えるなら、「鍵のない体育館のど真ん中で布団を敷いて寝てね」と言われているようなものかもしれません。

「いつ誰が来るか分からない」という緊張感が、知らず知らずのうちにワンちゃんのストレスになってしまうのです。

  • ハウスは「閉じ込める場所(隔離)」ではありません。
  • ハウスは「誰も入ってこない安全地帯(守る場所)」です。

このように捉え直すことで、ハウスを用意しておくことは「かわいそうなこと」ではなく、新しい家族への「最初の愛情表現」と言えるのではないでしょうか。

2. リビングのどこに置く?愛犬がリラックスできる「壁際」と「視線」の黄金ルール

「リビングのどこにハウスを設置しておけばいいの?」
家具の配置を決める際、これはとても重要なポイントです。

愛犬がお迎え初日からリラックスできる配置には、以下の3つのような「黄金ルール」があります。場所選びの参考にしてみてください。

失敗しない設置場所の3つのポイント

  • 壁を背にできる場所(コーナーがおすすめ)
    背中が壁についていると、ワンちゃんは本能的に安心します。部屋の真ん中や通路の途中ではなく、あらかじめ部屋の隅(コーナー)や壁際を空けておきましょう。
  • 「家族の気配」はするけれど、「視線」が合いすぎない場所
    ワンちゃんは寂しがり屋なので、家族から隔離されるのは好みません。しかし、常に飼い主様と目が合う距離だと、監視されているようで落ち着かない場合があります。「ソファに座った飼い主様の姿が見え隠れする」くらいの距離感がベストです。
  • ドアやテレビの真横は避ける
    人の出入りが激しいドア付近や、大きな音がするテレビの真横は、ワンちゃんにとって「落ち着かない場所」になりやすいため避けましょう。

リビングで飼い主様がくつろぐソファの位置から、少し離れた静かな壁際。
そこに愛犬だけのスペースを作って迎えてあげることで、「みんなと一緒にいたいけど、今は眠たい」という時に、愛犬自身が選んで休めるようになります。

3. 「檻」に見えない工夫を。北欧インテリアに馴染む「木目」と「布」の優しい魔法

「金属のフェンスやケージを置くと、どうしても部屋が『檻』っぽくなってしまう」
これから家具を揃える方にとって、見た目の問題は切実ですよね。

そんな時は、購入する「素材」や、あわせる「布」を工夫してみましょう。

「木目調」を選ぶだけで、家具になる

最近は、金属製ではなく、木製のフレームを使ったウッディなサークルやハウスが増えています。お使いの家具と同じトーンの木目を選ぶだけで、リビングによく馴染みます。

「布(ファブリック)」をかけて、テント風に

もしスタンダードなケージを選ぶ場合でも、天井や側面に、生成り(きなり)やベージュの布をふわっと掛けてみてください。
これだけで、無機質な雰囲気が柔らかな「テント」のように変わります。さらに、ワンちゃんにとっては「周りが見えすぎない」という目隠し効果もあり、より安心して眠れるようになります。

「隠す」のではなく、「インテリアの一部として楽しむ」。
クッションの色をカーテンやラグと合わせて統一感を出すのも素敵です。

4. トイレとベッドの位置関係は?最初が肝心!「寝食分離」のレイアウト術

ハウスの中にトイレも一緒に入れたいと考える方も多いですが、実は配置によっては、将来的な「トイレの失敗」や「ベッドで寝てくれない」という悩みの原因になることがあります。

実はワンちゃんは、本能的に「自分の寝床を汚したくない」という、とても綺麗好きな動物です。
そのため、ベッドとトイレが近すぎると、ベッドで寝ることを嫌がったり、ストレスを感じたりしてしまうことがあるのです。

おすすめは「寝食分離」のレイアウト

スペースに余裕があれば、思い切ってトイレをハウス(寝床)の外に出すか、サークルをL字型に配置して、最初から「寝る場所」と「排泄する場所」を明確に分けてみてはいかがでしょうか。

対象 メリット
ワンちゃん 寝床が常に清潔で、安心して眠れる。
トイレトレーニングも認識しやすくなる。
飼い主様 ベッドが汚れにくくなり、洗濯の回数が減る。
トイレの掃除もしやすくなる。

愛犬の「綺麗好き」な性格を尊重した配置にしておくことも、快適な暮らしのスタートには大切です。

5. 最高の「特等席」で迎えてあげよう。一生モノの安心をプレゼント

ワンちゃんを迎える準備は、単にモノを揃えるだけのことではありません。
「ここでなら安心して眠れるよ」
そんな「一生モノの安心」を、愛犬にプレゼントするための準備でもあります。

お迎えしたその日に、テレビの音が直接響かない静かな壁際に、自分だけの落ち着ける場所があったなら。
きっとワンちゃんは、「ここは良いところだな」と、新しいお家と飼い主様のことをすぐに好きになってくれるはずです。

飼い主様とワンちゃんの新しい暮らしが、笑顔あふれる温かいものになりますよう願っています。